薦められるままに行先にした鹿港だけど、予想以上に興味深い街だ。
観光地だけどすれてなくて、素朴さを残す。平日に行ったので空いていたのも印象良くしているのかもしれない。
一番南まで下ってきての龍山寺がつい、ぼーっと時間を過ごしてしまう居心地の良さ。もちろん中華的な廟の造りなんだけれど、目に煩い電光掲示板もないし、よってたかって騒ぐように祈る人もいないし、視界に入る数人も、結婚式の写真撮りに来た一団も、思い思いの所作と距離感を保っている。
紅白で流れてた『海の声』サビが脳内リピート、辺りはコンクリートの住宅地で海が見えるわけでもないし、むしろそのロケーションは安平だったんだけど、心を広げる穏やかさをともなっていたのはこちらだったと。
気づけば乗ろうとしたバスに間に合わない時間に。
それならば、とことん迷ってみようと。摸乳巷っていう異様に細い路地(字を読んで然るべく)からさらに学校の脇を抜けてとにかく日常の裏路地に突っ込んでいく。上海のように格差と矛盾を感じることもなく、山の手のようになだらかな階層を垣間見るまでもなく、穏やかな空気を感じる。それが豊かさにつながるかはわからない。(いずれ過疎化していく街なのかもしれないし)
されど、この日立ち寄った彰化(ベトナムとの交錯&受験戦争)や台中(どこまでも、無機質な都市空間・東京のウォーターフロントのような)のうち、仮にどこに住む?と聞かれたら鹿港かな。台中までも1時間で出れるわけだし。立ち位置的には仙台からみての石巻ぐらい?
そんなわけで、旅人の口コミは信じるべき。日本人宿にしておいてよかった。発想がn=1ではないので思わぬ発見に出会える。
4時間弱を過ごし、高速バスで台中に向かう。やってきたのは、マイクロバスでもって乗客4人…バックパックあるので遠慮して一番後ろに座って、車輪のうえで突き上げる振動に耐える必要は、なかった。途中から乗ってくる人いると思ったんだが。全くなし。
そしてこのバス、アナウンスも降車ボタンもなく。
台中市内に入ってからはGPSとにらめっこ。わーわーとバス停でもなさそうなところで降りていく。あと2人になって、「お前はどこまでだ?」っていうように飛んできたので駅って行ったら、だいたいその辺で降ろしてくれた。
目の前にあった宮原眼科(というなの土産物屋)で会社向けのパイナップルケーキを調達、向かいのファミマで麻辣ピーナッツとパイナップルを。
桃園行きのバスは30分後だったので、台中駅をのぞいてみる。
改札が素通りになっている。なんだ?
夕焼けに輝くレール、一方通行関係ない群列、過ぎていくと国際線ターミナルのような巨大な駅が。これぞ、ハコモノと。
駅前からバスで2時間半、無事に桃園空港に戻ってきた。バニラエアもほぼ定刻に飛んで深夜の関空に到着した。帰りの飛行機、色々反芻していて眠るに落ちず。エアロプラザについてからも、興奮冷めやらぬというか。
たまにはこんな刺激受けに行かないと。