大平宿へは曲がりくねった県道をひたすら登る。離合も困難な典型的な山道といったところ。携帯の電波も入らない、GPSも谷間に振られて正確な位置を示せない。だいぶ登ったと思ったら、それは大きな誤差・・・
そんな感じで飽きたぐらいに古い鳥居が見えて、ようやく到着した。
宿として鍵を受け取ったのは一番手前の建物。古民家といえば、聞こえはいいのだが、福島中里のそれと同列に扱ってはならない。
忌憚なく申せば、それは廃墟だ。扉が閉まらない、いや、正確を期するなら、扉が崩落して外界と直結している。障子がもはや体を成していない。
そんなワイルドなキャンプ(いや、テントを張る方が万全であるが)だけど、仲間と過ごすなら、愉快な思い出である。そしてそこに、お酒があるのなら。
昨年からのキリンビール47都道府県シリーズを持ち寄って、清水で冷ます。だだし、量が尋常ではない。
キュウリとトマトで涼しげさを演出するも、黄金色の存在感を打ち消すには遠く及ばない。
結局、冷やしきる前に、少しずつ減り始めるわけですが。
床を掃いて、火を起こし、安全な水回りを確認し(建物のトイレは使えたものではない。虫が多すぎるし、臭いもあまりに強烈だった。隣の建物近くの公衆トイレ、おそらく、宿として開放するに当たり作られたものと推測する、簡易水洗で使用に耐えるレベルだった)とりあえずひと段落で集落を散策
学校の跡地が、平屋の古き良き木造校舎でいうことなし。
夏の間は、住みつつカフェと民宿な家も上の方に数軒あり。聞くところでは、もともとの住民関係ではなく、移り住んできたらしい。ちょっといい雰囲気だけど、だいぶ奥地に踏み込んだなと。
我々の少し下流の家は、もともとの住民が管理しつつ、宿としても開放しているらしい。着いた頃は持ち主が掃除に訪れていた。こちらは、やっぱり少し手が入っている。
散歩して下った先には、林間学校的に滞在している学童のグループ。
いい思い出になるだろうな、晴れていればここの星空は最高に違いない。
引率の保護者の皆さまは大変かもしれないけれど、どうか無理のない範囲で。
飲みつつ、焼きトウモロコシや枝豆、燻製を片手に夜は更けていく。