自転車乗りならいつかは、しまなみ海道へ。
「サイクリスト」なんて横文字には似つかわしくない旅をして来たので、本場に行くにあたってそんな大きく出るわけにはいかない。頑張って横文字にするなら「チャリダー」が限界
北海道は回りつくして、やまなみハイウェイも学生時代に踏破したらやっぱり残る大物はしまなみだと思う。漠然と。
関西に来た時からタイミングはうかがい続けてきた。夏は暑い、秋は紅葉、冬は行く場所ではない・・・注釈をつけてるとやっぱり実行には移せない。日々の仕事と同じ。できない、行かない理由づけは簡単なわけで。
3月、後半になれば花粉で半ば謹慎の日々、桜咲けばそちらに靡き、新緑の山が呼んでいる。仕事も調整できそうな1週目はねらい目かもしれない。2月半ばから照準を合わせる。春の嵐、天気予報とにらめあい、職場にアドバルーンをあげておく。どちらも問題なさそうだ。
木曜に休みの申請して、荷造り、夜には船で四国へ。
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大阪南港のフェリーターミナルへは出航30分前に到着した。乗り換えた「コスモスクエア」=宇宙広場の中国語表記に妙に感動しつつ、長い渡り廊下を進む。
予約はしてなかったけど、まあ問題なく発券できる(カード使えず手持ち予算がかつかつになったことだけが誤算)
金曜発はそれなりに混むんだろうけど、平日は基本的にトラック&トレーラー輸送がメインだろう。春休みなので、学生のグループ旅行がちらほら。あとは男一匹出張か放浪か。のんびり旅を楽しむ熟年夫婦で大方の布陣が固まる。
要するに、空いているのである。
2等寝台も1室8ベッドだが、同室はもう一人。ちょっと様子見に行った2等雑魚寝も各ルーム3人ぐらい。1等はまずまず埋まっていたようだが。
風呂は出発前に済ませているので、缶ピール片手に階上ロビーでぼけっと。
22時を少し回るころに静かに船は動き出してた。前方では学生チームがゆるやかな宴、背後ではパズルに没頭する初老の紳士、真ん中はとりあえず缶ビール飲んでる仕事投げてきた系青年
金曜の宿をラスト1枠で確保して、ようやく尾道の街についていろいろ調べ始める。キュレーションメディアくたばれ、と思いながら、結局公的な観光協会サイトはアクセントなくのっぺり紹介なので良くわからないまま。歯ぎしりする心を抑えてザッピング
下段だからか、船旅はやっぱりこんなものなのか、終始細かく突き上げてくるエンジンの唸りで眠りは浅い。それでも5時半の館内放送まではそれなりに横になれた。定刻きっかりに東予港に入り、連絡バスで今治駅へ。
普通に路線バスらしく途中の乗降は・・・ほとんどなく(なぜか動き出して5分のバス停で乗務員交代という良くわからない展開)、今治駅で降りるとき整理券を出すこともなく、フェリーからのひとは無料ですの一言でおわる緩さ。
車両は高速バス運用の間合いなのか、しっかりした西工ボディのハイデッカー車
寄り道をしたいので、いかに早くスタートするかである。
駅前の臨時レンタルステーションを待ってもいいのだが、8時半スタートだとほぼ走りっぱなしになりそう。駅前に面白そうな喫茶店なり、食堂なり、目につかないので7時20分の鈍行でひとつ先の波止浜駅へ。「はとはま」と読みそうに、打ちそうになってしまうが、「はしはま」らしい。大波止読みを勝手にあてはめてしまう。
駅前の駐輪場は嵐の後の惨劇と。1日早ければかなりきつかっただろう(と、このときは想像したが、尾道のゲストハウスで途中1泊ライダーと話したら追い風でそんなに苦労はなかったらしい)
歩いて30分弱、サンライズ糸山に到着した。8時まで少し待ってレンタサイクルの手続きへ。先発の2人がジャイアントあてがわれていたのに、目の前にやってきたのは、ブリジストンサイクル?のちょっと貧相なクロスバイク。えり好みはしないが、少し不安になる。空気は厳しめにチェックしてしっかり入れてもらう。変速機が調子微妙だが、慣れるだろう(半日たてば問題なく。でも道中4回もチェーンが落ちて手が真っ黒に)
さて、出発と。